IMG_5323

 昨年夏に行った、子どものためのデザインワークショップのつづき。北九州市の7つの校区の小学生が秋から冬にかけて、印刷工場に見学に行ったり、実際に自分たちが暮らすまちにでかけました。そして、インタビューなどを行って実際に受注を受けてチラシをつくりました。その展示と発表会が行われるので審査員長として参加してきました(つけ髭を持っていけば良かった)。

 子どもの創造性を引き出すワークショップは、非日常の空間と演出で、高揚して良い思い出になるかと思います。ただ、デザインのワークショップの場合は、疑問や問い、課題から始まります。なので、自分の暮らしや地域と分断されるのではなく、日常の延長上にプログラムされて、かつ多くを設えるのではなく主体的に取り組めたら良いなあと思っています。地域性と日常性と主体性。子どものデザインで大切にしたいことです。

IMG_5302

IMG_5298

 夏の授業で伝えた「デザインって“あくしゅ”みたいなもの。一人じゃできないのと、仲良くなりたいなという気持ちが大事」という言葉を大事にして子どもたちがまちに繰り出していて。相手から言われたことを整理してそのまま落とし込むのではなく、相手のことを思い、どうしたら喜んでくれるかを考え、相手の想像以上のものをデザインするという、僕が伝えたかった言葉の真意が伝わっていて嬉しくなりました。また、みんなの前で発表する訳ですが、夏の授業のときせっかく良いデザインだったのに、恥ずかしすぎて、最後の最後まで人前で発表できず、無理しなくて良いよ、次がんばろうと伝えた女の子がいて。その女の子が率先して発表したのは、さすがに泣きそうになりました。本当にあっという間に子どもは成長するものなんですね。他のみんなもちゃんと発表できました。

9999

IMG_5293

 言わずもがな子どももまちの立派な住人です。家庭と学校だけでなく、こうした地域の人たちとの紐帯は何かあったときはもちろんのこと、社会で生きて行くための必要な規則や道徳性のようなものも、おのずと育まれていきます。そういった意味でも今回のワークショップは子どもたちにとって世界が広がったかと思います。実行委員のみなさまお見事でした。そして一年間、本当におつかれさまでした。