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少しご報告です。独立して9年が過ぎました。中村哲さんのペシャワール会のHPにも掲げられていますが、「誰もが押し寄せる所なら誰かが行く。誰も行かない所でこそ、我々は必要とされる」。その言葉にとても共感して、自分なりにデザインのない場所に赴いて、そのような意思を持って仕事をしてきました。先日、打ち合わせ先から妻に電話で帰る事を伝えるとふいに、「ようやく自分が消えて、透明なデザインができるようになってきたねえ」と。思い当たる節と、なかなか褒めない人という事も相まって外だったにも関わらず、思わず泪しました。二十歳の頃、デザインの本を買ったものの、どこから読んで良いかわからず肩を落としていた僕を見て妻は大笑い。何だか僕も滑稽に思えてきてつられて大笑い。そんな日がまるで昨日のことのように感じました。

日ごと、触れれないもの(精神的なもの)へと関心が強くなっています。また、自分が思い描いている場所(未来)に辿り着くために意図的に人に近づくのが良いのでしょうが、なんだかそういうのも苦手で。誤解を恐れずに言えば、この人とだったら失敗しても良い。寄り道になるかもしれないけど何度も何度も一緒にトライしたいと思えるそんな人たちと、思い描いている場所(未来)へと僕は行きたいな、と。そして最近、年代問わずそう思える人たちが増え、委ねる機会も増えてきました。僕にとってデザインは手段でしかないのですが、でもその可能性は信じていて、背負ってみようという気持ちになりました(いや、肩にかけるぐらい)。殺害された後藤さんのデザイナーへの問いかけや、安保法案なども重なりました。それで、僕なりの態度として屋号を『青い月』から、『ブルームーンデザイン事務所』に変えました。ブルームーンの月の新月の日というのも何かの縁でしょう。ひとりでも多くの人が人生を愛して欲しいと、祈りとともに。

今後とも、どうぞよろしくおねがいいたします(独立前から「青い月」の名前でブログを綴っていたこともあり、web上の住所みたいなものですので、web上ではそのままにしておきます)。