手紙香|唐津

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時代に逆行しているのかもしれませんが、随分前から文通をさせて頂いている方が数人います。ある日、届いた手紙の封をあけると、ほのかに落ち着く香りが広がりました。封の中には季節の便りの他に、香木を包んだ愛らしい文香(ふみこう)がありました。その奥ゆかしさと心配りに癒され、何とも穏やかな気持ちになりました。

青い月のレタープレスの文香は、「手紙香」と名付けました。妻が生まれ育ったのは、唐津。なので、わたしたちの暮らしの中には唐津焼が多くあります。そこに描かれている図案は、草花や虫など、どれも身近で素朴なものばかりで、食卓に土の温かみと安らぎを与えてくれます。そんな慣れ親しんだ絵唐津を思い浮かべながら、10種類ほどの絵を描き、活版印刷機でプレスを行ない、仕立てを行なっています。香木は、穏やかな香りで、こころを凪ぎにしてくれる白檀を使用。紙は同じく唐津(七山)の紙漉思考室の和紙を。大切な手紙をしたためる際、ほのかな香りを添えて、どうぞ(漉くこと、縫うこと、拾うことで、展示販売いたします)。