NAGASAKI DESIGN TRADE 2013

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先週末、長崎で日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)の九州大会が開催されました。その中で波佐見町教育委員会の中野さん、長崎のアートディレクターの納富さん、長崎国際観光コンベンション協会の股張さん、そして私で「デザイン温故知新」という題でパネルディスカッションを行いました。当日は北海道から沖縄まで、著名なアートディレクターさんからデザイナーを志す学生さんまで会場はほぼデザインに従事している方々、一色だったそうです。普段から、デザインそのものよりも“デザイン以前”に関心があるので、デザイナーの方々とのつながりはあまりないのですが、そういった方々にいわゆる表現手段としてではなく、その文化や背景を少しでも知ってもらえたらと活版の歴史や土地性、イタリアの今の傾向、現在行政にアドボカシーを行っている、文化資源としての活字・活版の保存、そしてそれらを活かすまちづくりの話などをさせて頂きました。会場の長崎市立図書館は、日本で初めて活版所が出来た場所でもあります。そのような場で現職のデザイナーの方々はもちろん、次を担う若い世代の方々にふるさとの文化を伝えることができたのは、とても光栄でした。

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ディスカッション後は、長崎の活字文化を永年守ってきた野口さん、岩永さんと共に体験の講師を。お二人は、何十年も長崎に修学旅行に来た子どもたちに郷土の文化として活版の名刺づくり体験を行ったり、廃業する印刷所から印刷機や道具を集めて保存したり、10年程前、本木昌造顕彰会・印刷博物館・モリサワと三社で提唱され出版された『日本の近代活字』の活版部分の組版を行われたりと、心から尊敬してやまない方々です。体験後、「ガソリン(ビールのこと)がなくなったけん、行こうか」と誘われ、中華街へ。お二人の労をねぎらうと「良か話やったよ」と、逆に私の労をねぎらってくださいました。永年現場で尽力してきた方の言葉は重く、そしてとても温かいもので少し肩の力が抜けました。


参加者の方々は体験後、帆船観光丸で長崎湾のクルージングを行いながら交流懇親会を行なったそうです。翌日はかつて日本三大花街のひとつだった丸山界隈のまち歩きを行ったり、軍艦島(端島)の普段入れないゾーンを見学したりと、JAGDA長崎さんの尽力により会は終始盛況だったそうです。JAGDA長崎の皆さん、おつかれさまでした。そして声をかけて頂き、本当にありがとうございました。

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※写真はJAGDA長崎さん