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4月24日より、京丹波の『ギャラリー白田』で、「ミエルかみ」が始まっています。先週末は僕も京都へ行ってきました。一年間ほど時間をかけてきたものの結晶と美しいものに出会えた喜びに、えも言われぬ多幸感と充実感とが未だ身を包んでいます。主催の石井すみ子さんのこれまでの尽力と、私たちをもてなしてくれたことへの感謝の気持ちで胸が一杯です。思いがけない人や京都のたおやかな自然との出会いもありました。重ねてお礼申し上げます。

以下、写真は前崎さん撮影(こちらでより多くの写真が見れます)。Rosasのダンサー、池田扶美代さんが最近、こんな事を呟いていました。「工程に時間がかかるものにはリスペクトです。私も工程に時間をかけて作品をつくりたいです。あとは自由になるから。素材やベースが良いものこだわりがあるものは力強いです。工程に時間を使えば、あとはその人のセンスです」。時間と光と風とを味方につけた皆さんの作品は自由でどれも美しく、その場にずっと身を委ねていたい大らかさがありました。

料理家の井口さんの和紙を使った食のワークショップでは、目と舌が喜んだのはもちろんのこと、その先にあるたくさんの人たちと食を囲む時間の豊かさと喜びを知ることができました。ギャラリー白田の奥の森で行われたCOSMIC WONDERと工藝ぱんくす舎による水会は、とても神々しく、清らかな時間でした。紙衣をまとったCOSMIC WONDERの前田さんと石井さんの所作はとても美しく、木漏れ日射す木立の間から、ふいに、そこにあるはずのない桜の花びらがひとつ、はらりはらりと舞い降りてきたときには、大いなるものを近くに感じました。奥に鎮座していた漉き師の前田さんの前日までの杞憂はどこへやら。大役をそつなくこなしていました。今回の前田さんの仕事、お見事でした。手漉師として、また一段階上がったことを肌で判じました。これからの仕事が益々たのしみです。

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最後に今回の自分の作品のことを。普段、活版印刷というものを未来につなげることに力をいれていることもあり、自分の作品を作ることを考えたのは久しぶりでした。今回、和紙と活版に改めて向き合い、記録・伝達という和紙、活版の本来の役割だけでなく時代を超える力に着目しました。そして時代を超えていくには人々の祈りや支え、すなわち信仰が備わっていることも。そこで、先人たちが残してきたものを自分なりに再解釈して未来へと、今の素材を使いながら当時の工法で「グレゴリオ聖歌」と「丹波の民話」をつくりました。夜な夜な手強い時間が続きましたが、巡礼の旅を終えた後のような充実感で満たされました。今回、声をかけて頂き、心から感謝しています。

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長くなりましたが、「ミエルかみ」は5/10日まで開催されています。作品に留まらず会場であるギャラリー白田を取り巻く環境もとても美しいです。京都市内から離れてはいますが、お時間の許す方はぜひ足を運んで頂けますと幸いです。


「ミエルかみ」
2015年4月24日(金)-5月10日(日)
5月7日close 11:00 -18:00

ギャラリー白田 http://www.dokkatouyu.com/ 
〒622-0233 京都府船井郡京丹波町森山田7
Tel 0771-82-1782