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デザインを担当した『石橋美術館』の「ちょっと気になる絵のまわり展」。「良かったあ」と、たくさんの方からの嬉しい声が届いています。会期もいよいよあとひと月となりました。10月半ばだとバラ園のバラも麗しい頃じゃないでしょうか。福岡からだと、「久留米 花と美術館散策きっぷ」がかなりお得です(なにせ、通常の列車が往復で1240円ですから)。

さて。夏に行ったもうひとつの子どもたちのワークショップ「石橋美術館のカメラマンになろう」。写真家で『ALBUS』代表の酒井さんにお声がけしました。カメラの使い方を子どもたちに教えてほしい訳ではなくカメラという道具を介して、人や場所、風景との関わりを子どもたちに感じてほしかったから(普段、彼女が大切にされていることでもあって)。また、出産を間近に控える大事な時期でしたが、彼女にとっても、おなかの中の赤ちゃんにとっても子どもたちと過ごすそういった時間がプラスになればと思って(僕は内心ドキドキでしたが)。

子どもたちに与えた題は、ふたつ。ひとつ目は、「記憶できるかな?同じ場所で同じように撮影してこよう」。先だって、石橋美術館内を一緒に巡り、いろんなアングルで撮影しました。その写真を手掛かりに子どもたちが同じ場所を探して、同じアングルで写真を撮影しました。知らない地域の子どもたち同士で数グループを作ったのですが、一緒に探すことで一気に仲良くなり、グループごとに先を急ぐ白熱した時間になりました。

子どもたちの緊張もほぐれたところで、ふたつ目の「石橋美術館ってどんなところ?」。美術館のスタッフにインタビューをして美術館での思い出の場所や、大切にしている場所に連れていってもらってそこでポートレートを撮りました。子ども達は最初、スタッフの名前だけを手掛かりに、いろんな人に尋ねながら、インタビューをする目的のスタッフに辿り着きました(こういったプログラムは石橋美術館にとっても初めての事だったそうで、美術館に関わるいろんな人を巻き込めた事が僕にとっても嬉しく)。

子どもたちはインタビューをして、ポートレートを撮った後、保護者の前で発表をしました。インタビュー内容と写真は、どれもあたたかく、酒井さんの眼差しが子どもたちにちゃんと伝播し、それを感心していた保護者さんたちの姿もまた、印象的でした。そのワークショップの様子が23日(祝・水)まで展示されています。最後にワークショップ終了後の酒井さんの言葉を。


“カメラマンになりたいなと思ったとき、カメラの仕組みを学んだり、写真の撮り方をうまくならなくちゃ、と思う人も多いかもしれない。もちろんそれも大事。さらに、もうちょっと大事なことは「被写体(撮りたい人やモノやコト)をよく知り、よく感じ、うやまう気持ち」。実はこれがないと、なかなかうまく撮れない。そんなことを実感してもらうべく、今回はみんなに「石橋美術館ってどんなところ?誰かの思い出の場所へ連れて行ってもらおう」というミッションをお願いして、美術館で働く方にインタビューをしてもらい、その人の思い出の場所で写真を撮ってもらいました。

写真を撮り忘れるくらい熱心にインタビューしてくれたチームもあったようで、それはちょっとうれしい出来事でした。カメラマンである前に、目の前にいる人や美術館を知り、感じることで一所懸命だった子どもたち。そんな子どもたちから学ぶべきことがたくさんあったワークショップでした”

当日の様子は石橋美術館のブログに詳しく綴られています。