空気のように、普段は見えないし、気づきもしないけど僕たちの生命を守ってくれている。それが憲法。改憲で、随分と息苦しくというより、深刻な状況になりそう。怒りや否定、反発など、そういった強い力から生まれるものではなく、もっと透明なものから新しいものが生まれる場に居合わせたいと願っている。けれども、そんな悠長なことも言ってられない状況になってきた。チリの詩人、パブロ・ネルーダ、イタリアの語り部、リゴーニ・ステルン、そして、チェコの作家、ミラン・クンデラ。自分が好きな作家たちの作品には人生と同義で戦争が描かれている。その困難な中でも自分の人生を愛し、懸命に生きていく、その生の儚さと強さに惹かれている。でも、それも遠い国の話ではなくなってきた。もちろん僕はダニエル・デイ=ルイスのようにプレーボーイではないけれど、驚くほど「存在の耐えられない軽さ」と現実が重なっている(最も好きな映画のひとつ)。そして、シーンは足早に次へと向かっている。「人生は私にはとても重いのに、あなたにはごく軽いのね。私、その軽さに耐えられないの」。ジュリエット・ビノシュが演じるテレーザの印象的な台詞。おそらく杞憂では終わらないだろう。僕たちを覆っている閉塞感は、鈍色の雲の先には必ず太陽があるという言葉でさえ慰めにもならない。それでも。