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 週末、ブックスキューブリックにて「かぞく」の創刊記念のトーク「かぞくのはなし」が行われました。事務局から今岡さん(ケニア滞在時に里親と出会って、里親制度や社会的養護に関心を持たれた方)。編集チームから、田北さん、遠藤さん。そしてキューブリック店主の大井さんが聞き手となり会は進みました。冒頭、今岡さんによる子どもの村の説明。それから田北さん、遠藤さんによる編集の背景のことを。制作中、お二人の姿を近くで見ていたものの、その真摯なまなざしを改めて噛みしめる時間となりました。

 また、聞き手なのに、「かぞく」に携わっている人たちが、旧知の間柄ということもあり、熱が入って多くを語られていた大井さんの姿も印象的でした。記事中の、鷲田清一さんの“自分がいまここにいるということは、24時間誰かが面倒をみてくれた証”“これからは家族を大きくしていく、いわゆる拡大家族が当たり前になるような社会に戻していかないといけない”、熊谷晋一郎さんの“自立は依存先を増やすこと”などに付箋を貼られていて、その言葉が持つ真意を会場の皆さんに伝えられました。何度も繰り返し読みたいとも。

 かぞく。その言葉から思い浮かべるものは、人それぞれ。ですが、「かぞく」を通して、いろんな家族を知り、自分の家族を見つめ直したり、家族の多様性や奥深さについて考える起因になれば嬉しいです。また、「かぞく」は困難を抱えている子どもへの支援や、孤独を感じている子どもが少しでも希望を持てたらと思いながらデザインしました。あまりそういう視点は聞かれませんが、僕にとっての地域や社会のデザインは、子どもや家族のことなんだと改めて感じています。子どもや家族が抱える課題や問題は社会の課題を孕んでいます。それそのものと言っても良いかもしれません。これまで、社会的養護だけじゃなく、望まれない子どもや障害のある子どもたちに関わるものなど、さまざまなデザインを行ってきました。生きづらさを感じるかもしれないけれど、家族から少し遠い場所でも、肯定する大人がいることを感じてくれたらなと。そっか、それが鷲田さんが仰る拡大家族のようなものなのかもしれませんね(遅ればせながら鷲田さんの近著を拝読しました)。我が子を抱きながら、その背中には困難を抱えるたくさんの子どもたちを感じる日々です。愛情を持ちながらデザインに励みたいと思います。