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夏至と冬至が暦ではなく、体感的に季節を感じる節目なのですが、その夏至を過ぎて夏はこれからだというのに、心がどこか秋に向かっているのを感じます。慌ただしくも充足した日々を過ごしています。我が子の成長にも驚くことばかり。最近、読み返した福永武彦の本にこんな一節がありました。

“一人で遊んでいる赤ん坊を見るときに、僕らはそれが完全な幸福の状態であることに気づくだろう。赤ん坊は太陽の暖かい光線の方に顔を向ける。傍らにあるものを掴んで、小さな手の中でその形、その重さを確かめる。かすかな物音に耳を澄ます。その意識の中では、恐らくは外界の時間と内部の時間とが微妙に調和し、思考というものはその原型のまま本能の形を採って流れ、感情もまた原始的な無垢な状態を保っている。赤ん坊の持つ孤独は人を微笑ませる。その孤独には、他人を傷つけるものも、自分を傷つけるものものない。もし閉鎖的という言葉を使うのならば、この孤独は完全に閉鎖的であり、自分を傷つけるものものない。それは一つの美しい矛盾をなしている”

その眼差しと同じようなものを見つめている気がします。他者の愛を知るにはまだしばらく時間がかかるでしょうが、その孤独を大切にできるような環境を作っていければと思います。それから。今日は満月。そして、31日も満月。今月は暦と月齢のずれから、数年に一回のひと月に2回、満月が訪れるめずらしい月です。2度目の満月は、ブルームーン(青くは見えないでしょうが、滅多にないことは確か)。見ると幸せになるとも。その幸せというのは、月を見つめる穏やかな時間、誰かの事を想う時間。その時間のことを指すのかもしれません。