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 福岡市で初めてとなる現代詩の展覧会「POLYPHONY」が12/13(日)まで福岡市総合図書館、福岡市赤煉瓦文化館の2会場で開催されます(入場無料)。そのアートディレクションとデザインを行いました。展覧会のタイトルと、ヘルマン・ヘッセの「詩は音楽にならなかった言葉であり、音楽は言葉にならなかった詩である」という言葉を手掛かりに詩人たちの詩を集めてピアノをつくりました。白鍵がひとつだけ飛び出しているのは、シ=詩の展覧会であるということのささやかなメッセージです。ポスターは市内公共施設などに貼られています。さっそく、足を留めて詩を眺めて下さる方々やポスターを下さいと仰って下さる方が多数いらっしゃったりして、とても嬉しく思います。

 福岡市総合図書館では、戦後45年から65年までの20年間をクロニクルで辿っています。久留米の偉大な詩人、丸山豊さんから脈々と続く抒情的な詩や、谷川雁さんをはじめとした社会に向けて叫ばれた詩(珈琲美美さん、工藝風向さんで目にする新羅凧の鈴木召平さんも)や、何気ない暮らしの中から紡がれた詩など(個人的には十代の頃から憧れていた北園克衛さんが関わった「詩と繪」に感動)。赤煉瓦文化館では、安西均さん、川崎洋さん(茨木のり子さんを誘って創刊した「櫂」など)、昨年亡くなった那珂太郎さん(天神から中洲に渡る橋の袂、カフェブラジレイロ跡地に建つ石碑をたまに眺めています)など福岡の詩人の代表的な詩集を。また戦後、男性ばかりであった詩の世界で詩作を行った女性詩人たちに光を当てていることも特筆すべきことかと思います。彼女たちが紡ぐ詩の言葉の強さに圧倒されました。

 いろんな町を旅して最近強く思うのは、ふるさとに詩があるということは、本当に豊かなことだなあと。触ることはできないけれど、生活者に脈々と継がれて、その人をかたちづくり、支えのようになっている。魂と置き換えてもいいのかもしれません。外向きではない、土地と足(心)とがしっかりとつながっている、そんな音や空気を感じる町を歩くと心から嬉しくなります。今回、福岡にゆかりがある詩人たちの詩に触れて、これまで以上に自分のまちのことが好きになりました。戦後から20年、この福岡の地で紡がれた多くの音や声(ポリフォニー)に、耳を澄まして頂ければと思います。期間中、イベントも予定されています。詳細は「市政だより」から。

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