京都で進行中だった保育園「みょうりんえん」のクリエイティブディレクション。週末、サインの設置が終了しました。「たいようのしずく」というコンセプトを立て、見えないけれど感じること、見えないものを創造すること、そんな事を子どもたちに伝えればと。ロゴマークのデザインは、たいようのしずくや、みょうりんえんのMのシルエット、園児を中心とした園庭(木々)や地域の人たちを表しています。

クラスルームのサインの制作は南山城村(京都で唯一の村)の木作家の宮内知子さんにお願いしました。山間の気持ち良い場所にあるアトリエに伺い、サインのモチーフの打ち合わせを重ねました。宮内さんは、世界中のいろんな木を使って、木そのままの色(無着色)で、子ども向けではない造形で、たくさんの魅力的なモチーフを作ってくださいました。

コンセプトに沿って今年からクラスルームの名前がそら(宙)組、ほし組、にじ組、はな組、わかば組、つくし組に変わりました。成長に合わせてサインの高さも調整(つくし組みは赤ちゃんに合わせて)。一階は「かえでフロア」、二階は「けやきフロア」と名前が付いています。クラスルームの文字を書き起こして制作はファブラボ博多さんで。小さなとことですが切り文字は、フロアに合わせてそれそぞれ楓の木、欅の木で作りました。階段のサインは子どもたちに空間認識と、形としての数字ではなく、概念としての数を伝えています。

外観サインは琺瑯で。いつもながら、控えめで、やさしい質感のホーローは子どもの場所に相応しいと感じています。今回、制作だけじゃなく各種サインの設置もいつもお世話になっている「原田琺瑯」さんが行なってくださいました(九州外でもご一緒できて喜びもひとしおです)。

「ルピナスさん」という絵本があります。子どもの頃、おじいさんから「世の中を、もっと美しくするために、何かをしてもらいたいのだよ。」と約束したルピナスさんはおばあさんになったとき、おじいさんとの約束を果たします。誰かを想う小さな行為が、世界をもっと優しく、美しくしてくれると信じてやみません。細やかで優しい設計を行なったワークスの福口朋子さん、確固たる庭園文化のある京都で、その気配を感じながらも、たおやかな園庭を作られた西海園芸の山口陽介さん。自己と周囲との世界を認識、そして信頼を育んでいくこの園での子どもたちのこれからが本当に楽しみです。