ルームシューズを作る時間は、以前と比べてずいぶんと穏やかな時間が流れています。
始めから最後までを似たように、右を進めて、左を進めて、
また右を進めて、左を進めて…と、追って、同じように、寄り添うように
愛らしく出来上がるようにしています。
外での帽子、内でのルームシューズ。
今は外に向かず、中に中にと心が向かっています。
見せるためのものではなく
自分に戻れる部屋でのひとときをと。
デザインは少し後にして、心地よく、素直になれるものを。
今年、夏のはじまる頃に、ずいぶんと大切に閉まっていた
母が手作りをして使っていたエプロンを、使ってみようという気持ちになりました。
ずっと大切に閉まっておこうと思っていたのに、不思議です。
そういうわけでキッチンに立つときに使っているんだけれど
とにかく、とてもうれしいし、使いはじめてから
これまでには思い出せなかった母のことを思い出しました。
もうひとつは、腰紐を結んだ瞬間に、リズムよく!手際よく!の
エンジンがかかったかのようになることです。
破れた所でさえ小さく小さく縫い直していて
母らしいなぁと胸がいっぱいになります。
これからも使っていくわけだけれど、いつかはこのエプロンも
使えなくなるでしょう。ですから同じもではないけれど
その後も同じ形のエプロンを使えるように型取りをして
作ってみようと思います。
昨年のベレー展を終える頃から、気持ちが一歩前進していました。
それは、暮らしや生活を考えたときに、もう少しだけ生活の中に近づきたい
という素直な気持ちでした。例えば、それを食物に例えて、
帽子たちが玉子スープだとすれば、お味噌汁のような。
バターロールであるとすれば、食パンのような。
そんな、もう少し生活の中に近づきたいという気持ちです。
そんなことから、今年に入ってから作業の合間にこれまでに私が作り、
少々長く使いつづけてきたもので、お味噌汁ような、食パンのような
いつもそこにあって、気持ちの邪魔をしない、ふだんの自分でいられる
ひとつをご紹介いします。
ルームシューズ。
足踏みミシンを使いはじめて、あるといいな。
から、作ったものです。
もちろん旅行の移動中や、ホテルでも安心してつかえました。
汚れても手洗いをして長く使えます。
柔らかいのでいつものスリッパよりも小さくなります。
左にあるルームシューズは私がいつも使っているものです。
なんども洗い、形もくずれてはいますが縫いたてより気持ちがいいです。
初秋にはウェブショップを始める準備をしています。
そちらであらためてご紹介いたします。