まちプラ

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前述につづいて久留米シティプラザのことを。まちの人たちと久留米シティプラザをつなぐコミュニケーションペーパー「まち×プラ」をデザインしました。これまでも「まち×プラ」は発行されていたのですが、これまでのものは、どちらかというと報告的要素が多かったこともあり、より親しみを感じてもらえるように、また、商店街の各店舗に置かれて読まれている姿もひとつの風景になればなあと思い、紙面構成も含めてタブロイド型を提案しました。結果、前号からリニュアールしています。それにあわせてロゴも手描きで。また、シティプラザがまちのひとたちと関わりながら作られていってほしいので(オープンは平成28年)紙面には、まちの人たちが(工事に携わっている人たちも)たくさん登場しています。これからもたくさん登場するでしょう。市内公共施設を始め、JR久留米駅、西鉄久留米駅などで手にすることができますので、よろしかったら。

まちの壁にフレームを描く

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久留米市の中心市街地の六ツ門地区に新しくできる文化施設『久留米シティプラザ』。今年の春から、まちの人たちとプラザとをつなぐコミュニケーション・デザインで関わっています。いくつかプロジェクトが動いているのですが、今回、絶賛工事中の仮囲いの壁に絵を描きました。ただ、僕が絵を描くのではなくて、友人やまちの人達と一緒に楽しめたらと思って絵のない絵(フレーム)を描くことを提案しました。

公共の「公」は、本来“わたし”という意味と居場所があって。でも、どこか公共とわたしたちの間には見えない線があるような気がします。でもその隔たりは壁ではなく扉のようなもので、いつだってその気になれば開けられるもの。けれども、往々にしてその扉の場所がわかりにくくて…(だからこそパブリックなデザインにはいつも力が入ります)。新しく生まれるその場が閉ざされたコミュニティではなく、誰しもにとって、ふらっと立ち寄れる拠り所のようなものになればなあと。なので今回は、フレーム=シティプラザ、絵=あなたと、そんな想いも持ちながらプランニングとドローイングを行いました。さっそく今月の半ばには地元の子どもたちの絵が飾られます。それまではフレームだけです。それはそれで不思議な風景で、何ができるんだろう?何が始まるんだろう?と、そわそわ、ざわざわとした期待感のようなものも芽生えてくれたらと思っています。

今回、一緒にドローイングを行ったのは、長崎から宮崎さん。「仕事でパブリックな場所に思いっきり落書きできるよ」と誘って。案の定、楽しんでくれました(ありがとー!)。

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当日は先日の福岡県美術館での記憶も新しい「東北記録映画三部作」のプロデュースなどを行っている相澤さんも東京から丁度いらしていて。僕の作業を見てるねーと仰られていたものの、次々にフレームを描いて下さって(脚立に登っても!)。本当に嬉しかったです(後日頂いたメッセージも。それはこれからも、あきらめずに頑張っていこうというもので)。それから市役所の方々、散歩中のおじいさん、帰省中の親子、結婚式帰りのお兄様方、帰宅中の女子高生と、「どうぞ、どうぞ」とペンを握って頂き、思い思いのフレームを描いてもらいました。たくさんの人たちとの関わりも生まれ、本当にたのしいひとときで、あっという間に日も暮れました。仮囲いの上から顔を出したお月様も、仲間に入れて欲しかったような、どこか微笑ましい顔をしていました。

東へ南へ、パン屋さんを

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BAKERYタツヤさん(バゲットますます美味しくなっていますよ!)と、Pain stockさん(FACEBOOKページが始まりました。シュトーレンも!)、の袋のデザインが同時期にスタート。ゴミにならずに、まちの小さな風景になるような袋をデザインできればなーと思います。それから。みよさんのお店、うーぱんベーカリーが場所が変わってリニューアルオープン!自分の事のように本当にうれしいです。

長文が続いたのと長文が続きそうなので、今日は短く。普段の移動は列車か自転車なのですが、この季節は本当に目移りします。紅葉は歳を重ねるほど美しく感じるものなのでしょうか。眼に映る光が本当に眩しいです。口笛はKings Of ConvenienceのRule My Worldで。一層、気持ち良くなってくると乗りながら歌っています。

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ナガサキリンネを終えて

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「去年、売られていた○○、今年は持ってこられてないんですか?」、「ああ、今年は持ってきていないです。来年、持ってきますね」、「良かった。来年たのしみにしていますね」。先日の『ナガサキリンネ』で聞こえた何気ない会話。目まぐるしい早さで様々なものが消費されて行く中で、こののんびりとした時の流れは、「市」としての正しい道を歩んでいるなあと(生業の歴史にも同じようなくだりもあり)、嬉しくなりました。まだ公式での発表はあっていませんが、前回より下回るものの、今回も1万人を超える人たちが長崎県美術館と出島に足を運んで下さいました。心より御礼申し上げます。また、個人的にも嬉しい出会いがたくさんありました。本当にありがとうございました。会場のそこかしこで生まれた、朗らかな人と人との触れ合いは層となり、会場全体をあたたかな空気で包んでいました。長崎で暮らす人たちがめぐりつながり、自分のまちをもっと好きになり、そしてより豊かな暮らしを作っていけるように。ナガサキリンネが、ますます長崎で暮らす人たちの暮らしの中の大切なものへと育っていければと願います。

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今回、これまでの企画展やワークショップに加え、同世代はもちろん、次の世代の人たちに生の声に触れられる場ができたらと思ってトークを設けました。僕のトークに関しては後日綴るとして、長崎県美術館の屋上で行われたトーク「人が集まる場をつくる」。そこには赤ちゃんから年配の方まで老若男女問わず集まった、本当に奇跡のような風景でした。長崎の空と稲佐山と長崎港に見守られて。それは未来の長崎を予感させるもので思わず泪してしまいました。

それから。一年を通して長崎を感じれるものになればと、今回カレンダーを2種類デザインしました。カレンダーの売り上げは、行政や助成金、協賛金に頼らず自立運営を目指すナガサキリンネにとって重要な運営資金になります。長崎に旅行に行かれた際はぜひに。販売店の詳細はこちらから。

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最後にちょっと個人的な事を。今年の始め、多摩美のプレデザインの授業で話をしました。ナガサキリンネの事も少し。その際、聴講して下さった神奈川の手ぬぐい作家の『ZUCU』さんが、僕の話に何かを感じて下さり、なんとマーケットに出展作家として参加して下さいました。本当にびっくりしたのと同時に、えいっと遠く九州まで来て下さった事(初めての関門海峡越えだったそうです!)、本当に嬉しかったです。知り合いもいなければ、土地とのつながりもない中で、自分を表現するというのはリスクは当然ですが、本当に勇気が必要だったことだと思います。ZUCUさんのその行動に応えることができるよう、一層、日々の仕事に励んでいきたいと思います。手ぬぐいも大事に使わせて頂きますね。雨に濡れた長崎の石畳のようです。

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