活版巡礼はつづく

11月に長崎県西海市で開催される、横瀬浦開港450周年記念事業企画展の概要が固まりつつあります。天正遣欧少年使節やルイス・フロイスに関連する資料を始め、バテレン迫害の時代の潜伏キリシタンの資料等も展示されます。秀吉が「バテレン追放令」を発したのが、私がアトリエを構えている筑前箱崎だったいうのも、何とも不思議なつながりを感じています。それで、天正遣欧少年使節がヨーロッパから持ち帰った、大きなグーテンベルク式活版機(レプリカ)も展示することになりました。展示だけではなく触れて欲しいと思うので、活版発祥の地、南島原市に直し(確認)に行くことになりました。久しぶりの加津佐。とても美しい場所なので、ランドナーで行くことにしました。旅の準備をしていると、クラシックカメラ、活字、輪行用のパーツと、どれも気難しいものですが、気持ちが通じ合ったときは代え難い喜びがあるものばかり。つくづく、人に近い物が好きなんだなあと思います。ではでは、行ってきます。

A loving home for every child

ヴィジュアルデザインを行なった「子どもの村福岡」。先月、国際NGO「SOS children’s village」の日本に於ける組織、「日本SOS子どもの村」の設立総会も行なわれました。ブランドブックとにらめっこしながら、デザインガイドラインを現在、つくっています。今年に入り、震災後の震災孤児支援、その子ども達を養育する家庭の長期的支援を目的に仙台に「子どもの村東北」も設立されました。先日、福岡市では「ファミリーシップふくおか(里親養育支援共働事業実行委員会)」と福岡市の共催によるフォーラムも開催され、少しづつ社会的養護への関心が高まってきていることを感じています。

11月は虐待防止月間と言う事もあり、より多くの人々に、家族と暮らせない子どもたちを社会全体で育んで行くことの大切さを発信する為に、新聞広告をつくることになりました。現在、その応援団(スポンサー)を募集していますので(匿名でも大丈夫です)、関心を持たれた方はぜひ御協力をよろしくお願い致します。オンラインでも寄付することができます。




追記
親と暮せない子どもたちと“隣り合う”大人たちを8年間追った、ドキュメンタリー「隣る人」が、9/29(土)から中州大洋で上映されます。こちらも、ぜひ。

ルリユール

秋の気配というよりも、冬の足音が聞こえてきそうな、今日この頃。でも、自転車に乗るには清々しい季節なので、少し足を伸ばして郊外へ。暑い夏でも、寒い夏でも、必ずこの季節に花を咲かせる彼岸花に毎年、感心させられます。

遠くの町の図書館にある古い大きな活版印刷機を修理することになりました。気持ち良い季節なので、ランドナーで行こうかと思っています。子どもの頃から、大きなバッグに自転車を入れて、列車に乗ったり、船に乗ったりして、旅先で自分の自転車に乗ることに憧れていました。また、役目を終えたと思っていたものを直してふたたび使えるようにするのは、ルリユールおじさんになれる気がして、とても嬉しく有り難いことです。

五足の靴

数年前、長崎、天草と活版印刷の源流を辿った際、そこにまるで先回りしたかのように、「五足の靴」の石碑がありました。それに限らず仕事で訪れた佐世保(四ヶ町アーケード横、夜店公園内)や、妻の故郷である唐津(唐津駅前)、そして地元である福岡(中州の川丈旅館)と、「五足の靴」の石碑を目にする機会が重なりました。それは、多分、読みなさいと言う事なのだろうと、「五足の靴」を読んでみました。

「五足の靴」は、与謝野鉄幹が、太田正雄、北原白秋、平野万里、吉井勇の4人を連れて九州を旅した紀行文。執筆者は「五人づれ」として匿名でリレートークのように、ひとりひとりが、訪れたその土地の事を書いています。その匿名性にユーモアを感じつつも、柳川が地元である白秋を除くと、九州は彼らにとって余程、遠かったのでしょう。中央との差を感じ、北部九州の街並や人々の暮しぶりを、辛辣に書いています。反面、唐津や千代の松原など風光明媚な場所の描写はとても美しく、今は無き当時の面影を感じることができました。と、言う訳でブックジャケットの九州編は、「五足の靴」で。引き続き、「手の間」さんで、購入できます。


(左)博多。屋形船の中にて。
(中)唐津。頷巾振山(鏡山)から。
(右)天草。パアテルさんは、信者が慕われていた大江教会の司祭、ガルニエ神父の事。

唐津の海

夢中で唐津の海を撮っている間、こっそり背後から撮られていました。鈍くささは相変わらずです。最近は、年配の方々のスマート(紳士)な所作や配慮に触れる機会が多く、憧れつつも、その道はまだまだ遠いようです。