今年最後に

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今年いただいた手紙を整理していたら、じーんとしてしまって。なので、今年最後のご挨拶もお手紙で。今年は本当に忘れられない一年となりました。交通事故に遭い後遺障害が残りました。利き手ということもあり、手に職を持ち、暮らしを立てている者にとっては致命傷以外の何物でもなく、突きつけられた現実に、ただただ立ち尽くすしかありませんでした。けれども。我が身に降り掛かったその堪え難い苦痛と苦悩とを、やさしく包んでくれたのは、僕を気にかけたり、必要としてくれる人たちでした。妻の献身とその皆さんの想いや手紙は確かに僕の血となり骨となり、再び歩むちからを与えてくれました。大きすぎて恩返しはできないかもしれませんが、愛する人達が、僕を必要としてくれる人達が笑って暮らせるように、そして、本当にデザインを必要としている人たちが幸せを感じて暮らしていける様に、ささやかですが精一杯がんばっていきたいと思います。本当に生きててよかったです。心からの感謝を。

2012.12.31

WA56号

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フクオカアート&カルチャーマガジン 福岡市文化芸術振興財団機関誌「wa」の56号ができました。今号も妻がイラスト、僕がデザインを行っています。今号はページ増、表紙には特色を使っている特別号です(インパクトのある表紙と相俟ってとても目立ちます)。市役所をはじめとした公共施設、地下鉄などで手にすることができますので、ぜひに。

そのインパクトのある表紙は、オランダの知的障がい者アート施設「アトリエヘーレンプラッツ」に参加していた、ハイン・ディンゲマンス氏のもの。ハインさんやヘーレンプラッツ数名の作品が2/16日から三菱地所アルティアムで行われるエイブルアート2013「ボレロ -Lifemap-」で展示されます。表紙撮影に立ち会いましたが、刺激的な作品ばかりでしたので今から楽しみです。

ほかにもエッセイは横尾忠則さん、財団のレポートは文楽、それからとても話題になっている(行きたくて仕方がない)、せんだいメディアテークで現在開催中の写真家、志賀理江子さんの「螺旋海岸」のことなど盛りだくさんの内容になっています。

平和

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激戦のビルマに赴き、多くの戦友を失った祖父は生前よく、「平和がいちばん、平和がいちばん」と言っていた。子どもながら平和というものは何ともつかみどころがなく、曖昧模糊としていて、でも大きな“やさしさ”のようなものでしっかりと包まれている感じがした。たぶん、それで良いんだと思う。本来、子どもたちは、平和なんて意識しなくても良いんだと思う。平和なんて意識せず安心して過ごせるように戦争を経験した祖父の世代の人たちが、今の平和な世界を築いてくれたんだと思う。

言わずもがなこの世界は今を生きている人たちだけの世界ではない。未来を生きる子どもたちや、今を守ってきてくれた人たちの世界でもあると思う。もちろん、たくさんの動物たちや植物たち自然のものでも。僕たちはただ今を生きているだけであって、受け継がれたものを次の人たちに、より良くして渡すのが勤めなんだと思う。閉塞感と虚無感の被い方は止めどないけれども、それでも諦めずに希望を持ち続けることが、何よりの生きていく“エネルギー”になるんじゃないだろうか。

“私たちは、千年後の地球や人類に責任を持てと言われても困ってしまいます。言葉の上では美しいけれど、現実としてやはり遠すぎるのです。けれどもこうは思います。千年後は無理かもしれないが、百年、二百年後の世界には責任があるのではないか。つまり正しい答えはわからないけれど、その時代の中で、より良い方向を出していく責任はあるのではないかと”星野道夫