久留米市の中心市街地の六ツ門地区に新しくできる文化施設『久留米シティプラザ』。今年の春から、まちの人たちとプラザとをつなぐコミュニケーション・デザインで関わっています。いくつかプロジェクトが動いているのですが、今回、絶賛工事中の仮囲いの壁に絵を描きました。ただ、僕が絵を描くのではなくて、友人やまちの人達と一緒に楽しめたらと思って絵のない絵(フレーム)を描くことを提案しました。
公共の「公」は、本来“わたし”という意味と居場所があって。でも、どこか公共とわたしたちの間には見えない線があるような気がします。でもその隔たりは壁ではなく扉のようなもので、いつだってその気になれば開けられるもの。けれども、往々にしてその扉の場所がわかりにくくて…(だからこそパブリックなデザインにはいつも力が入ります)。新しく生まれるその場が閉ざされたコミュニティではなく、誰しもにとって、ふらっと立ち寄れる拠り所のようなものになればなあと。なので今回は、フレーム=シティプラザ、絵=あなたと、そんな想いも持ちながらプランニングとドローイングを行いました。さっそく今月の半ばには地元の子どもたちの絵が飾られます。それまではフレームだけです。それはそれで不思議な風景で、何ができるんだろう?何が始まるんだろう?と、そわそわ、ざわざわとした期待感のようなものも芽生えてくれたらと思っています。
今回、一緒にドローイングを行ったのは、長崎から宮崎さん。「仕事でパブリックな場所に思いっきり落書きできるよ」と誘って。案の定、楽しんでくれました(ありがとー!)。
当日は先日の福岡県美術館での記憶も新しい「東北記録映画三部作」のプロデュースなどを行っている相澤さんも東京から丁度いらしていて。僕の作業を見てるねーと仰られていたものの、次々にフレームを描いて下さって(脚立に登っても!)。本当に嬉しかったです(後日頂いたメッセージも。それはこれからも、あきらめずに頑張っていこうというもので)。それから市役所の方々、散歩中のおじいさん、帰省中の親子、結婚式帰りのお兄様方、帰宅中の女子高生と、「どうぞ、どうぞ」とペンを握って頂き、思い思いのフレームを描いてもらいました。たくさんの人たちとの関わりも生まれ、本当にたのしいひとときで、あっという間に日も暮れました。仮囲いの上から顔を出したお月様も、仲間に入れて欲しかったような、どこか微笑ましい顔をしていました。