名入れ便箋ワークショップ

ご自身の名前の鋳造活字を拾って、組んで、プレスをする名入れ便箋ワークショップを「手の間」にて行ないました。お越し下さった皆様、ありがとうございました。寺尾さんから受け継いだ頃から、ショップカードなど消費(販売促進)を目的とするもののではなく、暮らしの中で、ささやかながらも愛でれる活版のものを作りたいと、ずっと思っていました。普段から手紙を良く綴るのですが、活版に限らずご自身の名前が印刷されている名入れの便箋に憧れがありました。事故で活字を拾うことは難しくなりましたが、皆さんに拾ってもらい、組んで、プレスをしてもらうことで、自分の願いは成就されたような気がします。活字を拾い、組んで、プレスをする皆さんの楽しそうな表情が、じんわりと心に沁み入りました。本当にありがとうございました。大切な方へと想いを綴る時間に携われること。それは何よりの愉悦です。また、機会があれば行なえればと思っております。

手紙香|唐津

時代に逆行しているのかもしれませんが、随分前から文通をさせて頂いている方が数名います。ある日、届いた手紙の封をあけると、ほのかに落ち着く香りが広がりました。封の中には季節の便りの他に、香木を包んだ愛らしい文香(ふみこう)がありました。その奥ゆかしさと心配りに癒され、何とも穏やかな気持ちになりました。青い月のレタープレスの文香は、シンプルに「手紙香」と名付けました。妻が生まれ育ったのは、唐津。なので、わたしたちの暮らしの中には唐津焼が多くあります。そこに描かれている図案は、草花や虫など、どれも身近で素朴なものばかりで、食卓に土の温かみと安らぎを与えてくれます。そんな慣れ親しんだ絵唐津を思い浮かべながら、絵を描き、活版印刷機でプレスを行ない、仕立てを行なっています。香木は、落ち着く香りで、こころを凪ぎにしてくれる白檀を使用。紙は同じく唐津(七山)の紙漉思考室の和紙を。大切な手紙をしたためる際、ほのかな香りを添えて、ぜひに。また、栞(しおり)としても使用出来ますので、読書の一休みに穏やかな香りを味わってみてください。今回「手の間」さんに展示していますのは、3種類の絵柄が2セットです。おかげさまで好評で残り僅かとなっております。お早めにどうぞ。