ランドナー、旅の準備

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IMG_1469僕は空白の35年と呼んでいるのですが、主立った民俗学の本はだいたい昭和50年前後を最後に発行されていません。もちろん、再編集をされたものは最近も出ていますが、その間とこれからのいわゆる研究的観点からではなく、もっと暮らしに寄り添った民俗的なものを見つめたいと思っています。ですが、限られた時間しかないわけですから、北部九州に重点を置こうと思っています。育ったまち福岡、子どもの頃にすごした長崎、そして民俗学との出会いの地であり、妻のふるさとでもある唐津(佐賀)。何者でもなくただの在野ですから、縁と轍は今はか細いかもしれません。ですが繰り返し繰り返すことで、けものみちのように轍が生まれ、次の誰かの何かのしるしになれば幸いです。

カメラは準備したので、次はランドナー(自転車)。出発地から目的地の直接的なものではなく、そのあわいにこそ、見落とされているものはあって、それを見つめるには自転車は最適です。ですが、これまででたらめな輪行の仕方をしていて、ランドナーの分解と組み立てに時間がかかってしまっては本末転倒なので、改めておじさん(@長住サイクル)に教わりに行ってきました。民俗学の旅ではインタビューなども予定しているのですが、戦前生まれのおじさんから、博多の思わぬ民俗的な話を聞く事ができました。一歩、足を出して踏み出すと何かが急に音を立てて動きはじめます。須賀敦子さんのこんな言葉があります。「きっちり足に合った靴さえあれば、じぶんはどこまでも歩いていけるはずだ」と。おじさんの愛情の詰まった仕事に身を委ね、さあ、ペダルを漕ぎます。