賢治さんと本と街。東北の手仕事展

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子どもの頃から恋い焦がれ、昨年ようやく訪れることができた賢治さんのふるさと、岩手(イーハトーヴォ)。“あのイーハトーヴォのすきとおった風、 夏でも底に冷たさをもつ青いそら、 うつくしい森で飾られたモリーオ(盛岡)市”と賢治さんが言うそのままの街でした。事故後はじめての遠出で不安もありましたが、イーハトーヴォの風が、光が音が僕らをやさしく包んでくれました。耳を澄ませばあの南部鉄の風鈴のおくゆかしい音色が今も聞こえてきます。

その盛岡で本のイベント、モリブロが開催されます。テーマは「賢治さんと本と街」。昨年訪れた縁からお誘いを受け期間中、「てくり」を発行するまちの編集室さんがプロデュースする「ひめくり」さんでブックジャケットを展示販売する運びとなりました。和紙は同じく賢治さんのふるさと、花巻の成島和紙を使っています。昨年工場を訪れてお付き合いがはじまりました。賢治さんの言葉を賢治さんが暮らした街の紙にプレス。そして、手に取る方々は賢治さんや本を愛するモリーオの街の方々。これ以上ないふさわしい場だと感動しています。ひとつの物語がクライマックスを迎えた心境です。

また5月21日からは今度は福岡、「手の間」さんで「東北の手仕事展」が開催されます。盛岡では東北の作家さんと九州の作家さんが一緒に展示されました。普段は気づかないのですが並んで展示されると、九州で作られたものはとてもプリミティブな印象を受けました。また東北のものは力強さがありつつも端正でとてもたおやかな印象を受けました。どんな物が来るか、こちらも今からとても楽しみです。

写真は昨年、岩手を訪れたときのもの。賢治さんの記念館や名所など何年も何度も観光ガイドを眺めては熟知し、十二分に準備をしていたのですが、実は訪れることはありませんでした。賢治さんが暮らしたイーハトーヴォの風や光、それだけで僕らには充分でした。「ひめくり」さんの前を流れる中津川も大好きな場所になりました。街の中心部だというのに、ウェーダーを着たおじいさんが、鮎釣りをしていました。春にはさまざまな花が咲き、秋には鮭が遡上し、冬には白鳥が舞い降りるそうです。岸辺には誰かのシロツメの草かんむりが。とてもやさしく美しい景色でした。

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