ボローニャへ

IMG_4622

IMG_4629

少しまた旅の話を。レスタウロ(歴史的建造物の保存、修復、創造的活用)を学ぶことと、シビックプライドに寄与するレタープレススタジオを訪ねる為にボローニャへ。ミラノ、チェントラーレ駅近くに宿をとっていたものの、ボローニャ行きの列車はチェントラーレ駅から少し離れたガルバルディ駅からより多く出ていたので、そちらでチケットを購入することに。少し距離があったものの、一昨年のミラノは駆け足で過ぎたこともあり、せっかくだからと歩いていくことに。自転車や犬たちに(ミラノは都心部でも犬連れの人が多い!)目移りしながら、何人もの人たちに道を尋ねながら。妻は道を訪ねたとき別れ際、必ず「ボーナ、ジョルナータ!(良い一日を!)」と声をかけていた。そうするとスマートなおじさまも、モデルのようなミラノっ子も、上品なマダムも、マンマと一緒の若者も、みな決まって飛び切りの笑顔を返してくれた。

ガルバルディ駅では、なかなかチケット売り場に辿り着かなかった。どうやら、歩きすぎたようで駅を通り過ぎ少しすさんだ裏口から入っていた。ホームを通り過ぎ、表に出るとミラノエキスポ2015に向けて駅ビルや駅周辺も大規模な高層ビルの工事が進んでいて、一変した風景に少しおののいてしまった。歩き疲れたことも重なり、駅のすぐ近くにあったバールでブラッド・オレンジの生絞りのジュースを一気に飲み干した。目が覚めるような果実の祝福が五臓六腑に染み渡った。

チケット売り場でチケットを購入し、列車に乗った。せっかくだからと少しだけ良い席を選んでいたこともあり、車内サービスのビスコッティとワインを頂けた。ガルバルディ駅を出てしばらくすると、車窓からは霧で覆われた幽玄な田園風景が続いた。その景色を見ながら「きれいだねえ」と妻に声をかけると返事がなかった。疲れたのかいつの間にか妻が眠りについていた。僕はそのまま、なぜか懐かしさを感じる、遠い記憶のようなその景色をしばらく眺め続けた。