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某教育機関のサイン計画。サインと言う仕事は、タイポグラフィのスキルが最もストレートに現れるので、とてもエキサイティング。消費をベースにしたものは、広告も含めさまざまな意図や主張があり、少し構えてしまう。だが、サインはコミュニケーションデザインと言いつつも、デザイナーと生活者(主体者)の直接的な対話ではなく、普段は気付かないけれども、必要なときにそこに存在するという関わり方(ふれあいと言っても良い)の質に置いて、自分の思想、思惟に最も即している。小さなところまで配慮されていたり、情緒的な感情を引き出されるサインのある空間に出会うと、それ全体に好感が持てる。ホスピタリティとしても嬉しいが、何より、かすかに生まれた感情の迷いや不安を、安心(やすらぎ)に変える効果は絶大だと思う。そんなサインがいつかできればと思う。

事故の後遺障害で、以前にも増してさまざまなサインが目に入るようになってきている。事務的な事を言えば今、障害者と健常者の間(あわい)に立っている。社会との接点と言うか、役に立ちたいとデザインの仕事を選んだのだけども、この状態は何か大事なことを示唆している気がしてならない。デザインを通して、障害だけではなく、領域、世代、国境など、さまざまな境を自在に越えていこうと思う。