福祉のデザイン

先週末は、国際ユニヴァーサルデザイン会議、ふくおか共助社会づくりフェアと、福祉のデザインについていろいろと考える時間でした。

せっかく、デザイナーとして独立したのだから、何のしがらみも持たず、ニュートラルな立ち位置で、誰かの役に立つ仕事を行なっていこう。見落とされているかもしれないけど必要とされる仕事を行なっていこう。と、意気込んでいたものの、福祉に関しては知らないことばかりで、体当たりを重ね数年が経ちました。悔しい想いや、役に立てないもどかしさもたくさん感じてきましたが、気付けば、福祉とデザイン(広報)について、人前で話す機会を与えてもらうようになりました。ですが、何が正解なのかわからないのが、正直なところです。発信することが是。果たしてそうなんだろうかと懐疑的な自分もいます。

ふくおか共助社会づくりフェアにも、講師として参加していたこともあり、当日は多くの懐かしい方々に会うことができました(みなさま、お久しぶりでした。嬉しかったです)。それで、ひとつだけ気付いたことがありました。何も意識して発信しなくても良いんじゃないかと。5年、10年と日々のその人の営み、その人の行ない、その人の存在そのものが充分に発信になっているということ。地道な轍は、浮ついた轍より、深くしっかりと刻まれていることを感じました。戦略は必要ですが、眼差しは遠くに、一歩一歩踏みしめて歩いて行く。志しを持った人が歩いていくことに専念できるように、茨を刈ったり、はきやすい靴を準備したりと、それがデザイナーとしてできることなのかな。と、今の僕なりの着地点です。

それから、もうひとつ。今年の始め立ち上げの際、デザインをてがけた「ふくおかかつぎてけいかく」。NPOなどの為のいわゆる、キャパシティビルディング(組織基盤強化)の支援を行なう福岡県のプロボノ事業ですが、かつぎて(スキル提供者)登録者が40名を越えたそうです。デザインだけでなく、会計や事業計画などさまざまな形で、サポートが始まっている報告例を聞いて嬉しくなりました。キャパシティビルディングという言葉を耳にする機会が随分と増えて来ました。それほど、根幹的なことなんだと思います。まさにお互いさまである、この取組みがより浸透していけばと願っています。