フィンランドのくらしとデザイン

レセプションへの招待を頂き、ナガサキリンネのスタッフと一緒に、長崎県美術館の企画展「フィンランドのくらしとデザイン」に行ってきました。導入は静かで深い湖を思わせる濃い青緑の空間に、日本画を感じさせる幽玄な木立の絵画が並べられ、森がつくられていました。前日、偶然にも湖まででかけ、その静けさと木立と影が織り成す、光の抱擁に満たされました。北欧展のデザインだからと、可愛らしさやデザイン賛美のような展示をイメージしていただけに良い意味で裏切られて嬉しかったです。その展示のコンセプトの様なものは最後まで続きます。自然、思想、古書、民間伝承など。そこから生まれる有機的な美しいデザイン(精神、心象)は、自然から離れたものではなく、また人間からも離れたものでもなく、その調和はとても落ち着き、身体にしっくりとくるもので、なぜ日本人が北欧のデザインを好むのかが、少しわかったような気がしました。展示作家ひとりひとりのひそやかな願い、喜びやかなしみ、言うなればひとりひとりがこころに持っている、深く碧いみずうみとそこから生まれる霧のようなものを感じる、静謐で美しい展示でした。静かな森と深い湖(海)と、あとはフィンランドの人たちが愛する野に咲く花々。私たちも愛するその花々も、春を告げるかのように光射す最後の空間に咲き誇っていました。長崎県美術館にて12月24日までの開催です。ぜひに。

長崎県美術館 | http://www.nagasaki-museum.jp/