きずな

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久しぶりにファミリーシップふくおか(里親養育支援共働事業)のフォーラム「新しい絆」へ。全国的に見ても突出している福岡の里親委託率を表す様に予備の椅子が出されるほど会場は満員でした。委託率が増えるということはそれだけ普及活動が浸透していることを意味する訳で、改めてファミリーシップふくおかの取り組みに感嘆するとともに、より一層の普及が進むことで、本当の意味で福岡のまちは子どもたちにとってやさしいまちになっていく可能性を感じました。

メインゲストは帝塚山大学の才村眞理教授。「子どもとライフストーリーを分かち合う」として、出自を知る権利(子どもの権利条約を元に)や子どもの自尊心やレジリエンヌ(回復力)などの話を。続いて、誰から生まれたのか?なぜここにいるのか?などを子どもの人生に組み入れるプロセスである「ライフストーリーワーク」と、生い立ちの記録や写真などの記録を整理し記入するアルバムの「ライフストーリーブック」について。これはレッジョのドキュメンテーションとエピソード記述などの保育的観点から見ると情報に乏しいものの、子どもの尊厳から見るとより深い(強い)ものであるような印象を受けました。現代から過去、そして再び現代から未来とへと子どもの反応を見ながら“点滴”のように少しづつ告知していくことで、子どもが理解・納得し未来に生きる力を得ると。

里親さんたちのお話も。里親さんの話を伺うのはalbusでのイベント以来でした。愛を知らない子ども達が愛を感じるまで、里親さんたちは、どれほどの愛を注がれたのだろうと今回も胸を打たれました。血縁より強い絆があることを改めて知りました。前述の才村教授が里親さんたちの話の感想で「多様性に強い社会を作る上で、子ども達の力を信じる最先端にいるのが“里親”」と仰られ、ハッと膝を打ちました。

児童養護施設の藤田施設長による講演も行われました。施設の成り立ちから社会的養護が施設養護から家庭的養護へと移って行く過渡期である施設の現状とこれからを。そして、いくつ夜があっても語り尽くせないと仰るなか、施設で暮らす数人の子ども達のエピソードも。藤田さんには私自身、多くを与えて頂きました。自分のデザインの職能が集客や消費の為ではなく、まずデザインから“遠い場所”にいる人たちの役に立てたいと思う様になったのは藤田さんとの出会いからです。藤田さんは繰り返し、子どもは未来であると同時に今だと仰られます。施設に足を運ぶ中で他にもたくさん、子ども達の困難な話を伺いました。話を聞きながらその想像しがたい現場を想像する訳ですが、藤田さんはいつも子どもの、上でも下でも前でも後ろでもなく、となりにいます。いつも子どもと同じ景色を見ているのです。

何をしてきたかでその人の輪郭をつかめることもあれば、何をしてこなかったでその人を知ることもあるのかもしれません。その“してこなかった”時間の中には、藤田さんが目の前の子どもたちと向き合い続けてきた時間が確かに存在しています。久しぶりに話を伺い、自分もそうありたいと感じました。

遊ぶを社会で支える

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まちの中で暮らす子どもたちが、遊び場が限られている社会状況だからこそ自由に遊ぶこと、そして、それを地域の大人たちが関わり支えることの大切さを伝え実践し全国に伝播している「冒険遊び場づくり/プレーパーク」。 つづきを読む