市民文芸のデザイン

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福岡市民(都市圏)から短歌、俳句、川柳、詩、随筆、小説・戯曲を募り、
優れた作品を選考・顕彰する「市民文芸」。
毎年、2千強の応募がある福岡市で47年続く伝統的なものです。
48年目は、より多くの人達に知ってもらう、親しんでもらうために、
これまで発行していた冊子を大幅リニューアルし、
毎回、2万5千部発行している前述の機関誌「wa」に合併となりました。
今回、紙面だけではなく合わせてロゴもデザインしました。
昨年の暮れ、アクロス円形ホールで表彰式も行われました。

偶然にも同時期に、福岡市文学館の企画展のデザインもしていたこともあり、
普段から文芸書は良く読むものの、思いがけずこうして郷土の文芸に触れる機会ができて、
とても良い経験ができました。ありがとうございました。

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文芸とは言えどもあまり高尚にならずに、親しみのあるイメージのロゴで。

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シード設計社のwebサイト、ロゴデザイン

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建築家の方々から絶対の信頼を誇る、「シード設計社」さんのロゴマークと
ホームページのプランニング、デザインを行いました。
以前、デザインした「設計機構ワークス」さんのロゴやホームページを
気に入ってくださってのご依頼でした(まいさん、会長、ありがとうございました)。

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設備設計の根幹である熱、風などのエネルギーが効果的に循環するイメージを S で表現。
ロゴは設備設計の根幹である熱、風などのエネルギーが効果的に循環するイメージを S で表現。



設計は大きく分けると、意匠設計、構造設計、設備設計に分かれます。
おおまかに説明すると意匠設計というのは、名の通り建築家が設計する建物としてのデザイン(視覚的、快適性も含めて)。
構造設計というのは、その意匠設計を敷地などを踏まえて耐えられるかどうかなど、
建物の骨組みを計算、解析を専門とする設計。
設備設計は、その意匠設計に最適な空調、衛生、電気などを専門とする設計。
シード設計社さんはその設備設計にあたります。
普段、設備はあまり目立たないものですが、人が空間に存在する以上、なくてはならないものです。
また、環境への負荷軽減、省エネルギー化、持続可能性などを考えると
これからますます注目されてくる分野だと思います。
実際、シードさんに付き添って何人かの経営者さんに会いましたが、どの方も環境への意識の高さに驚きました。
現在、過去の実績は「福岡工業大学」ひとつですが、これから充実していきます。
僕自身、毎回、環境や設備のプライベートレッスンを受けていて、
言わずもがな環境には関心を持っているので、とても勉強になっています。
シードさんは数々のビックプロジェクトにも参加しており、これからひとつづづ実績とその背景をまとめていきます。
建築家の方や、未来の施主の方々へ有用な情報を提供していければと思っております。

ちなみに上記の設計機構ワークスさんと、シード設計社さんで、
保育園のプロジェクトが目下、進行中です。こちらも、とても楽しみにしています。

有限会社シード設計社|http://seed-ss.jp

WA56号

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フクオカアート&カルチャーマガジン 福岡市文化芸術振興財団機関誌「wa」の56号ができました。今号も妻がイラスト、僕がデザインを行っています。今号はページ増、表紙には特色を使っている特別号です(インパクトのある表紙と相俟ってとても目立ちます)。市役所をはじめとした公共施設、地下鉄などで手にすることができますので、ぜひに。

そのインパクトのある表紙は、オランダの知的障がい者アート施設「アトリエヘーレンプラッツ」に参加していた、ハイン・ディンゲマンス氏のもの。ハインさんやヘーレンプラッツ数名の作品が2/16日から三菱地所アルティアムで行われるエイブルアート2013「ボレロ -Lifemap-」で展示されます。表紙撮影に立ち会いましたが、刺激的な作品ばかりでしたので今から楽しみです。

ほかにもエッセイは横尾忠則さん、財団のレポートは文楽、それからとても話題になっている(行きたくて仕方がない)、せんだいメディアテークで現在開催中の写真家、志賀理江子さんの「螺旋海岸」のことなど盛りだくさんの内容になっています。

青春への恋文 -文芸誌「午前」とその周辺-

福岡市文学館(福岡市文学振興事業実行委員会・福岡市教育委員会)の企画展、『青春への恋文 文芸誌「午前」とその周辺』のアートディレクションを行ないました。

「午前」は戦後すぐの昭和21年に“福岡を編集した男”とも言われる、北川晃二や真鍋呉夫らが中心となって発行された文芸誌。今年生誕百年を迎えた檀一雄や、若き頃の島尾敏雄、庄野潤三、三島由紀夫なども寄稿しています。戦争によって“失われた青春”を断絶として捉えず、文学によって新しい時代を切開いて行こうという気高さや、ほとばしる情熱、その奥の深い葛藤などが刻まれています。ちなみに「午前」は、編集を務めた北川晃二とその意志を継いだ方々によって、地域に根差した文芸同人誌として今も福岡で継続されています。以下は「午前」創刊号の編集後記の眞鍋呉夫の言葉。

こゝに世代へのさゝやかな信頼と愛情のあかしとして「午前」を贈ります。文化の廃墟の中から謙虚な祈念で僕達は昭和の精神と立言します。決意として、愛として。僕達はここに世代の自他を含めて「午前」に僕達の祈念と開花の一切を賭けます。

彼らに敬意を払い、その想いを崩さないように、フライヤーは創刊号のサイズ、質感、雰囲気をそのまま残したデザインにしました。三島由紀夫の書簡なども展示されますが、その持ち主の先生から「なかなか洒落ていて素敵ですね。こだわり派だった三島氏もお喜びでしょう」と、嬉しい言葉を頂きました(このひと言でお酒を呑んだのは、言うまでもありません。10代の頃、東南アジアを旅したとき、着替えよりもむしろ三島作品や白樺派などの本の方が多かったのです)。

会場は、福岡市総合図書館(主に第一次「午前」や原稿、書簡など)と、福岡市赤煉瓦文化館(北川晃二が編集を務めた第二次「午前」以降)の2会場開催。すでにイベントはひとつ終了しておりますが、現在製作中の図録に合わせたイベントなども予定されていますので、また後日お知らせしたいと思います。


青春への恋文 文芸誌「午前」とその周辺
日時:2012年11月14日(水曜日)~2012年12月16日(日曜日)
場所:福岡市文学館(福岡市総合図書館・福岡市赤煉瓦文化館)
企画展概要@福岡市HP

福祉のデザイン

先週末は、国際ユニヴァーサルデザイン会議、ふくおか共助社会づくりフェアと、福祉のデザインについていろいろと考える時間でした。

せっかく、デザイナーとして独立したのだから、何のしがらみも持たず、ニュートラルな立ち位置で、誰かの役に立つ仕事を行なっていこう。見落とされているかもしれないけど必要とされる仕事を行なっていこう。と、意気込んでいたものの、福祉に関しては知らないことばかりで、体当たりを重ね数年が経ちました。悔しい想いや、役に立てないもどかしさもたくさん感じてきましたが、気付けば、福祉とデザイン(広報)について、人前で話す機会を与えてもらうようになりました。ですが、何が正解なのかわからないのが、正直なところです。発信することが是。果たしてそうなんだろうかと懐疑的な自分もいます。

ふくおか共助社会づくりフェアにも、講師として参加していたこともあり、当日は多くの懐かしい方々に会うことができました(みなさま、お久しぶりでした。嬉しかったです)。それで、ひとつだけ気付いたことがありました。何も意識して発信しなくても良いんじゃないかと。5年、10年と日々のその人の営み、その人の行ない、その人の存在そのものが充分に発信になっているということ。地道な轍は、浮ついた轍より、深くしっかりと刻まれていることを感じました。戦略は必要ですが、眼差しは遠くに、一歩一歩踏みしめて歩いて行く。志しを持った人が歩いていくことに専念できるように、茨を刈ったり、はきやすい靴を準備したりと、それがデザイナーとしてできることなのかな。と、今の僕なりの着地点です。

それから、もうひとつ。今年の始め立ち上げの際、デザインをてがけた「ふくおかかつぎてけいかく」。NPOなどの為のいわゆる、キャパシティビルディング(組織基盤強化)の支援を行なう福岡県のプロボノ事業ですが、かつぎて(スキル提供者)登録者が40名を越えたそうです。デザインだけでなく、会計や事業計画などさまざまな形で、サポートが始まっている報告例を聞いて嬉しくなりました。キャパシティビルディングという言葉を耳にする機会が随分と増えて来ました。それほど、根幹的なことなんだと思います。まさにお互いさまである、この取組みがより浸透していけばと願っています。