12月になり、仕事中にたまにグレゴリオ聖歌を流す様になりました。1605年に長崎のコレジヨ(神学校)で刷られた日本初の楽譜及び2色印刷のキリシタン版「サカラメンタ提要」。キリスト教の典礼書で、中には19曲のグレゴリオ聖歌が印刷されています。四線譜は朱で、音符は四角くスミで刷られた美しいものです。
昨年の今頃、西海市教育委員会の依頼でルイス・フロイスが上陸した、横瀬浦港の開港450年の記念事業で西海市の小学生たちにキリシタン版や活字などの出張授業を行なってきました。あわせて加津佐図書館所蔵のグーテンベルク式活版機を使っての体験も行いました(版に使うイラストは妻が描きました)。ふるさとの文化を感じ、見識を広げることにつながればと。その際、私自身も西海市の小学生たちから贈り物を頂きました。前述の「サカラメンタ提要」。その合唱を聴かせて頂きました。とても無垢で美しさを感じたと同時に、1605年に刷られたものがこうして永い時を超えて蘇ったことに震えるほどの感動を覚え涙腺が緩みました。一度、消えたふるさとの宝を元に戻すのは並大抵のことではありません。合唱は見ることも出来ず触れることもできませんが、子どもたちの心に宿り、また次の子どもたちへと、ずっとつながってほしいと切に願います。こちらの西海市のサイトで聴くことができます。よろしかったら。
「西海に蘇るサカラメンタ提要」|http://www.city.saikai.nagasaki.jp/docs/2011030800643/