Made in Japan

IMG_6243

IMG_3678

日本製のモノは私たち日本人だけではなく、世界中から愛されていることは皆さん知るところです。ですが、日本のモノづくりの現場は長引く不況で価格競争に巻き込まれたり、取引先から無理な工程、厳しい賃金を押さえつけられたりと、せっかく素晴しい技術はあるのに、職人さん達を養えなくなり、閉鎖せざる得ない小さな工場は後を絶ちません。なので、そこにデザイナーが加わり職人さんたちと恊働でモノをつくり、メーカーや卸などの中間業者を介さず、直接消費者が手にする販路を作ることで日本のモノづくりの技術を残していく。そういった取り組みはここ数年、よく耳にするようになりました。

今、自分が参画しているプロジェクトはそのデザイナーが海外の方、そして販路も海外という、ちょっと変わったプロジェクト。事の始まりは、とあるスイス人プロダクトデザイナーさんたちが日本製のモノに惹かれ、その日本製のモノを、そのままの空気でヨーロッパの人たちにも手にして欲しいと思ったところから。彼らのデザインは気を衒ったり華美なものでなく、とてもノーマルなのもの。だからこそ日本の技術の高さが伝わる秀逸なバランスだと感じています。これまでに福岡のいくつかのモノづくりの工場を一緒に訪ねてきました。コーディネートを行うRさんの尽力や、スイス人プロダクトデザイナーさん達の誠実さも重なり、いくつかの感動するエピソードを残しながらプロジェクトは一歩づつ着実に進んでいます。

私はプランニングやプロデュースを行うこともあり、デザインそのものよりも、それ以前の“立てて行くこと”や、その後に関心があります。このプロジェクトでは今まで知り得なかった海外でのアプローチやデザインマネジメントを体感でき、とても貴重な経験をしています。毎回のミーティングではプロジェクトの話をしながらも、ヨーロッパ圏内や日本の文化の話で、大きく脱線するのも魅力のひとつです。ある意味、ローカルなこのプロジェクト。少しづつお伝えできればと思います。