水仙月

suisen

隣に誰かいるという日常を失ったとき、初めてその大きさに気付きます。けれども残された者は淋しさだけではなく、愛の記憶にも包まれている事も感じます。月日を重ねるほどその包容はやわらかなものに。

今年も水仙月がやってきました。甘く切ない香りに誘われ、古ガラスに。「私はあなたの愛に値しないと思ふけれど、あなたの愛は一切を無視して私をつつむ」と、高村光太郎の言葉が響く季節です。