お盆に、親愛なる旧友が訪ねて来てくれた。蝋燭作家でもある彼女が蜜蝋で作った蝋燭を携えて。お盆に灯すあかりは故人に故郷の場所を伝える為のものだけど、その灯は事故後、再び歩き出した僕らのこころと足元を照らしてくれた。その温かく、懐かしく、優しい光は消えることなく、これから僕らの進む道も、ずっと灯し続けてくれるものになるのだと思う。全肯定の光だ。何と心強いことだろう。生きてて良かった。素直にそう思えることは人生においてどれくらいあるだろう。本当はもっと彼女のことを話したいけれど、大切なのでそっと胸にしまっておこうと思う。そうして、彼女はいろんな町でも、僕らと同じ様に、灯人(ともしびと)として、誰かのこころや足元を温かい光を灯しているのだろうと思うと、何ともやさしくなれる。