ブルームーン

イタリア帰りの彼女が、「植栽を見に行ったら、ブルームーンっていうバラがあったから」と、鉢物のバラを贈ってくれました。南区に住んでいた頃、植物園が近かった事もあり、よく妻と出かけていました。春と秋に咲き誇るバラ園の中でも、ブルームーンは、ひときわ甘美な香りを漂わせており、うっとりとし、毎年美しい花を咲かせるそのバラ園で写真を撮ったものです。バラの世界は奥深く、図鑑や「バラの育て方」の本などを見ては、おじいさんになったら、バラを育ててみたいと、ささやかな夢を抱いていました。

思えば事故後、随分と生け花からも遠ざかっていました。花に触れる時間というのは、本当に無になれる時間で、だからこそ今、必要な時間だったのかもしれません。再生の途上にある我が家に来てくれたこのバラを、ゆっくりと愛でていきたいと思います。本当にありがとう。